ヘッドフォンテストプレイリスト 第5段 / 最小音量用テスト
はじめに
これはこれで性能テストとして意味があるのだが、ちょっと特殊なテストなのは間違いない。
このようなテストが採用されている理由は、比較的客観性のある説明が容易であることだ。
音の「良し悪し」を説明するのはかなり困難なことで、しかも客観的な要素より主観的な要素のほうが実際のリスニングにおいて支配的だったりするので、この部分で「ちゃんとしたテスト」をする意味がかなり薄い。 それだったら私がよく聴くプレイリストを流して、なんとなく感じたことを述べるほうがよっぽど参考になるし、それっぽいテストでそれっぽいことを言う記事なら世の中にたくさんあるので私がやるニーズもないだろう。
電気的計測は客観的だが、これもまたとても参考にならない。 なぜなら電気的計測の結果を見ることはしても、ほとんどの人は自分の耳の性能を計測していないからだ。 なおかつ、自分の耳の計測をしてもグラフと重ね合わせた結果と感覚上の印象にギャップがあったりする。 人間の耳は繊細なのにいい加減なのだ。
そしてテストの前提として、大抵の場合機器の違いよりも人間のコンディションの違いのほうが大きい。 なのでテストは本当に難しいのだ。
第4段はこうした問題をできるだけ飲み込めるメソッドが採用されている。
対して今回新しく作った第5段は、「小音量テスト」である。
実は「ほとんどの場合リードトラック以外が聴き取れない極小の音量で聴く」派の人は結構多い。 なので小音量テスト自体は結構望まれるものなのだが、そのテストはかなり難しい。
まず、「なんの曲を使うか」「なにを評価するか」の基準が難しい。 加えて、小音量だと聞き流すことには何も問題がないため、「問題があるかどうか」の判定もものすごく難しい。 そして小音量でどれだけ聴き取れるかは人間側のコンディションへの依存度が強烈に高い。
なので今回のテストは、「追加の参考情報」のような位置づけだ。
プレイリスト
概要
| タイトル | アーティスト | チェックポイント |
|---|---|---|
| 砂糖玉の月 | やなぎなぎ | 0:56 |
| DANCEHALL MAGIC | BRADIO | 3:59 |
| Next Up! | モリモリあつし feat. Ayatsugu_Otowa | 2:54 |
| Hype & Love | Halv | 3:36 |
| to next page | Sano Kamome | 3:13 |
小音量テストは普通に違和感なく聞き流せてしまうので、「この音が聴こえたか」の確認対象を明確にする。
砂糖玉の月
リズム要素が比較的音色複雑な上に音量は控えめ。 全体トラック数はそこまで多いわけではないが、目立つトラックがある分意識から消えやすい。
チェックポイントは最初のサビ部分。 ストリングスパートが比較的見失いやすい上に、非常に小さなベル系の音が鳴っている。そこそこの音量がないと調和がとりづらい部分だ。
DANCEHALL MAGIC
序盤でL寄りのギターリフが意識から抜けやすい曲。 めちゃくちゃコンスタントなので、最初からギターリフを意識的に追ってないと曲の盛り上がりについていけずに普通に見失う。
全体ではベースとギターの両方を調和して聴けるかがポイント。
チェックポイントは終盤ギターリフが消え、ストリングスパートがメロディーをなぞるようになる。このストリングスパートが対象。
Next Up!
非常にわかりやすく、環境を問わず聴きやすい楽曲だが、装飾的トラックも多いのであらゆる環境ですべての音が聴こえているとは限らない系。
ただしチェックポイントはそういった要素ではなく、ドロップのテーマのみになるところの後半は音が割れているようなエフェクトがかかっているのだが、これが聴き取れるかのチェック。
Hype & Love
大変気持ちいいシンセ曲。ローファイシンセをベルとチャイムが彩る。
チェックポイントは静かになるところでリードシンセに沿ってベルが入るが、このベルは盛り上がっていく部分ではものすごく見失いやすい。 ベルという音自体は小音量で聴き取りやすいものだが、バランス的には厳し目だ。
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静かめの曲だが、非常に耳を惹くメロディーに対してリズミカルなバックの存在感が薄く意識から外れやすい。
チェックポイントはサビでピアノの裏のベル。 ベル自体は小音量で聴き取りやすくても、ピアノがそれ以上に聴き取りやすいため、ピアノと重なるとかなりの厳しさ。 最初のサビでは旋律的にもピアノと重なっていて厳しいが、クライマックスでは非常に控えめに装飾しているのでさらに厳しい。
プレイリストの作り方
SRS-3100で音量をいじりながら厳しそうな曲を選定した。
余談
実はこのテストは結構色々と問題が見つかった。
まずScarlett 2i2やVolt1を使用する場合、イヤフォンだと6.3mm TRSにするために変換アダプタを介するのだが、この変換アダプタの抵抗の差で極小になったときにLが聴こえなくなるという問題があった。 信号が小さくなって抵抗に飲み込まれてしまったわけだ。
また、Axon7だと基本的にボリューム1固定になるのだが、これだとイヤフォンのインピーダンス差が支配的になってしまい、明確な有利不利が発生する。
一見アプリ側で下げればいけそうに思えるが、デジタルボリュームで下げるということはデータ上小さい音を切り捨てていくということなので、もともとが小さい音の聴き取りをしようとしたときにデータ自体が消滅していて不可能、ということが発生しうる。
そこでイヤフォンは255段階ボリューム調整とゲインスイッチを持っているSpace Proを用いることにした。
これを採用した後にAxon 7自体が不調となってテストに採用しないこととしたが、このテストでは先行してSpace Proを用いる形をとっていた。
機器よりも環境や体調が支配的でプラグの汚れにも左右されやすいため、実用的かどうかはだいぶ怪しいテストになってしまった。